クラウド活用、RPA、IaC、CI/CD、自動化スクリプト…。
企業のIT運用を支える仕組みは年々高度化し、「自動化できる領域」も広がっています。
しかし、多くの企業が抱えている本音があります。
それは「自動化しているのに、運用が軽くならない」という矛盾です。
本記事では、この“自動化疲れ”が発生する理由と、
本質的な改善アプローチを解説します。
■ 1. なぜ自動化しているのに、運用は軽くならないのか?
自動化の失敗は技術の問題ではありません。
多くの場合、次のような構造的な理由があります。
① 標準化されていない業務を無理に自動化している
プロジェクトによって業務がバラバラだと、自動化は個別対応になり、保守が増えるだけです。
② 例外処理が多すぎて“結局、人が拾う”構造
例外のパターン化がされていないため、例外対応が自動化後も残ります。
③ 個人スクリプトの乱立でブラックボックス化
技術者ごとに異なる実装が存在し、引き継ぎ・保守に大きな負荷が発生します。
④ 自動化を“追加作業”として扱ってしまう
運用プロセスそのものを見直さず、自動化だけを追加すると、作業はむしろ増えます。
■ 2. 自動化の本当のゴールは「作業削減」ではない
自動化の本質は、作業を機械に任せることではなく、
業務そのものを“自動化しやすい構造”に変えることです。
つまり、自動化は次の3ステップの「最後」に位置する存在です。
- ① 標準化(業務を揃える)
- ② 構造化(手順・判断を明確化する)
- ③ 自動化(仕組みとして実装する)
この順序を踏まないまま自動化を行うと、
スクリプトの保守や例外対応が積み重なり、現場が疲弊します。
■ 3. 本当に効果が出る“運用自動化モデル”とは?
● Step 1:業務棚卸し(As-Is)
- 作業のばらつきの可視化
- 判断基準の抽出
- 例外処理のリスト化
- ブラックボックス化領域の特定
● Step 2:標準化(Standardization)
- 手順書の統一
- プロセスのパターン化
- 命名規則・ログルールの統一
- 判断基準の明文化
● Step 3:構造化(Structure Design)
- 判断ロジックの整理
- 例外パターンの分類
- データの流れ・更新ルールの明確化
● Step 4:自動化(Automation)
- スクリプトではなく“仕組み”で自動化
- CI/CDと連携した自動実行
- ログ・監査証跡の自動収集
- ガードレールによる逸脱検知
■ 4. 自動化成功がもたらす5つの効果
- 作業時間の削減(本来の目的)
- 品質向上(判断基準の統一)
- 再現性の確保(属人化の解消)
- 監査・ガバナンス対応の効率化
- 組織全体のスピード向上
適切な順序で自動化を進めることで、組織の運用力は大きく変わります。
■ 5. まとめ:自動化の本質は「業務そのものの再設計」である
自動化の成功は、技術選定では決まりません。
業務の標準化・構造化ができているかどうかで決まります。
株式会社FourthWallでは、業務棚卸し、標準化、構造化、運用設計、自動化の実装まで、
段階的な自動化支援を包括的に提供しています。
運用自動化を本質的に進めたい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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