クラウド移行を実施した企業から、次のような相談を受ける機会が増えています。
- 移行したはずなのに、むしろ運用が複雑化した
- 監視やアラートの基準が合わず、初動が遅くなった
- コストが読めず、管理に手間がかかる
- 権限・責務の境界が曖昧で混乱する
- ログやセキュリティ運用が後追いになってしまう
その多くは、クラウド移行を“ゴール”と捉えてしまい、
その後の運用モデルを再設計しないまま本番運用に入ってしまうことが原因です。
■ 1. クラウド移行は「始まり」に過ぎない
クラウド移行は、あくまで「現状をクラウド環境に移し替える」ための工程です。
しかし、クラウドの価値を発揮するのは運用フェーズに入ってからです。
オンプレとは前提がまったく異なるため、
移行後に次のようなズレが生まれます。
- リソースが動的に増減する(監視方法が変わる)
- 責務分界がクラウド特有の構造になる
- コスト構造がまったく別物になる
- セキュリティの境界が「設定値の整合性」に変わる
- 自動化が前提のアーキテクチャに変わる
つまり、移行前の運用モデルをそのまま持ち込めば、
必ず運用の劣化が起きます。
■ 2. 移行後の運用設計で見落とされがちなポイント
① 監視・アラート基準が旧環境のまま
クラウドは動的なため、固定的なしきい値やサーバ単位の監視は不向きです。
SLO/SLIベース、ログ・メトリクス・トレースの統合設計が必要です。
② 責務分界が曖昧
IaaS、PaaS、SaaSで責任は異なります。
クラウド運用は「どこからどこまで誰が持つか」を明確に決めないと混乱します。
③ コスト構造が“誰の責任か”不透明
クラウドは使った分だけ増えるため、
タグ・命名規則・アカウント構造が曖昧だと管理不能になります。
④ セキュリティは設定整合性の管理が本質
境界防御ではなく、設定の正しさ(CISベンチマーク等)が重要。
スキャナ・自動チェックの仕組みが欠かせません。
⑤ 自動化戦略がない
自動化は「ツール導入」ではなく、
“運用プロセスの再設計”が前提です。
■ 3. クラウド移行後に必要な“運用モデル再設計”
正常に運用するには、移行後に次を設計する必要があります。
① 監視・Observability(可観測性)
- メトリクス・ログ・トレースの統合
- SLO/SLIの設定
- アラート基準の標準化
② 責務分界と権限制御
- クラウド特有の責務分界モデル
- IAMガバナンスの標準化
- “誰が何を作れるか”の明確化
③ コスト管理(FinOps)
- タグ規則の徹底
- プロジェクト単位のコスト分解
- 自動アラートとダッシュボード
④ セキュリティ(設定整合性の基準化)
- CIS準拠チェック
- 自動スキャンの導入
- ドリフト検知
⑤ 自動化(Automation)
- 開発環境の自動停止
- パイプライン標準化
- IaCによる再現性担保
■ 4. まとめ:クラウド移行の成功は“運用で決まる”
クラウド移行はゴールではなく、スタートです。
最終的な成果は、移行後の運用モデル再設計にかかっています。
株式会社FourthWallでは、運用ガバナンス設計、監視標準化、
FinOps、セキュリティガバナンス、自動化戦略の策定まで、
移行後の最適な運用モデル構築をご支援しています。
クラウド移行後の混乱や課題がある際は、ぜひご相談ください。
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