AWS活用が進むほど、組織は次の課題に直面します。
「ガバナンスは必要だが、現場のスピードは落としたくない」
この課題に対して、ルールや承認プロセスを増やすことで対応しようとすると、
現場は疲弊し、「ガバナンス=足かせ」という認識が強まっていきます。
本記事では、AWS時代のガバナンスを
“厳しくするもの”ではなく、“迷わせないための設計”
として再整理し、現実的な考え方を解説します。
1. なぜガバナンスは「重くなりがち」なのか
オンプレミス時代のガバナンスは、
・事前申請
・承認
・チェックリスト
といった「手続き」によって成り立っていました。
この発想をそのままAWSに持ち込むと、次のような問題が起こります。
- 承認待ちがボトルネックになる
- 例外対応が属人化する
- スピード優先でルールが形骸化する
- 結果として統制が弱くなる
「厳しくしたはずなのに、守られなくなる」
これはクラウド移行初期によく見られる状態です。
2. AWS時代のガバナンスは「設計」が主役
AWSでは、ガバナンスを人の運用だけで支える必要はありません。
むしろ、設計と仕組みで担保することが前提になります。
具体的には、次のような考え方が重要です。
- 安全な初期状態を標準として用意する
- 逸脱しにくい構成をテンプレート化する
- 逸脱してもすぐ検知・是正できる状態にする
「やってはいけないことを列挙する」のではなく、
「迷わず安全な選択ができる状態」を作ることがガバナンスの本質です。
3. システム監査・ITIL視点で見るガバナンスの役割
システム監査やITILの観点では、ガバナンスは次の目的を持ちます。
- リスクを可視化し、管理可能な状態にする
- サービスを安定して提供し続ける
- 属人化を防ぎ、継続可能性を高める
重要なのは、
ガバナンスそのものが目的にならないことです。
AWSでは、ガバナンスが適切に設計されていれば、
監査対応も「慌てない」「集め直さない」状態を作ることができます。
4. ガバナンスを重くしない設計のポイント(実務)
4.1 標準構成を先に決める
プロジェクトごとに設計をゼロから考えると、
判断コストとレビュー負荷が増え続けます。
- ネットワーク境界の基本形を決める
- IAMの考え方を標準化する
- ログ・監査の取得方針を統一する
まず「安全な型」を作り、それを配布することが重要です。
4.2 禁止より「逸脱防止・検知」
禁止事項を増やしても、現場は疲弊します。
それよりも、逸脱が起きにくく、起きてもすぐ分かる仕組みが有効です。
- テンプレート外の構成を検知する
- 設定変更を自動で記録する
- 是正できる運用モデルを用意する
5. まとめ:ガバナンスは「縛るもの」ではなく「支えるもの」
AWS時代のガバナンスは、
現場を縛るためのルールではありません。
正しく設計されたガバナンスは、
・判断を速くし
・レビューを減らし
・監査対応を楽にし
・結果としてリスクを下げます。
株式会社FourthWallでは、
AWS環境におけるガバナンス設計を、
システム監査・ITILの視点を踏まえて整理・実装する支援を行っています。
クラウド活用を止めないために、
「厳しくするガバナンス」から「設計で支えるガバナンス」へ。
今こそ、考え方をアップデートするタイミングです。
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